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【中学国語】和歌の修辞法/枕詞・序詞の違いについて 性質や見つけかたなどを徹底解説

今回は中学国語で習う和歌の修辞法である【枕詞と序詞の違い】について解説していきます。

古文の中でもとりわけ苦手な生徒が多い「和歌」ですが、その理由として短い文章なのにややこしいルールや決まりが多いという点が挙げられるでしょう。

特に今回解説する枕詞は基本的には”訳さないことば”なので単純に単語を覚えれば訳せるようになる・問題が解けるという訳ではありません。

今回の記事では多くの生徒が頭を悩ませる【枕詞と序詞の違い】とそれぞれの特徴を詳しく解説していきます。

また練習問題も用意してあるのでぜひ挑戦してみてください。

枕詞と序詞の違い

まず結論から述べると【枕詞と序詞の違い】は次のようにまとめられます。

枕詞と序詞の違い

  • 枕詞は基本5文字(単語)/序詞は自由(文節)
  • 枕詞は訳さない/序詞はそのまま訳す
  • 枕詞にはルールがあり序詞にはルールがない

最も大きな違いは3つ目の「枕詞にはルールがあり、序詞にはルールがない」という点でしょう。

具体的なルール
枕詞はある特定の言葉を決まった単語で修飾する(飾る)もの
(※↑このように考えるよりは「○○という単語を使ったら××という単語を使わなければいけない」と考えるほうが解り易いかもしれません)
例)
しろたへの → 衣・雪
あしひきの → 山
ちはやぶる → 神

序詞は作者が好きな言葉を好きなように修飾(飾る)もの
となります。

枕詞はもともと歌を詠む人の技を見せあう場、ともに言葉遊びを楽しむ場だと考えてください。
「俺はちはやぶる/神の組み合わせでこんな良い歌を詠んだぜ、これより良い歌を詠めるヤツいる?」
といった感じで認識しておくとわかりやすいかもしれませんね。

一方、序詞は作者が好き勝手に文字制限なく(基本的には文で)「○○のような××」と例えてみたりダジャレを使ったりしてあることばを導く(飾る)ことを言います。

以下で枕詞と序詞にはどのようなものがあるかなど、それぞれ細かく解説していきます。

枕詞とは

枕詞とは…

枕詞とは和歌の修辞法の一つで「特定に単語(枕詞)が特定の単語を修飾する」というものです。
…わかりにくいですね。
ものすごく簡単に言うと和歌のルールで「ある5文字(4文字、6文字の時もあり)の1つの単語を使ったら別の決まった単語を使わなければならない」というものです。

人気漫画のタイトルにも使われている「ちはやふる・ちはやぶる」は「神」を導くための枕詞です。
つまり和歌の中に「ちはやふる・ちはやぶる」を入れたら必ず「神」ということばも使わなければならないのです。

和歌にはいろいろな技法やルールを駆使する「技」の側面と心情や情景を読み手に思い浮かばせる「趣」の側面があります。
枕詞などの修辞法は「技」の側面ですね。

枕詞は訳さない

枕詞は基本的に訳しません。

枕詞とはかなり昔から使われていた技法で、もともとは意味のある言葉だったようです。

例えば有名な「神」の枕詞である「ちはやふる・ちはやぶる」には「荒々しい・強暴な」という意味があります。
神と言えば、穏やかで人間をはじめとする生あるものの見方というイメージではないですか?
昔は神の中には悪霊妖怪のようなものもいて、人々の生活を脅かすこともある存在と考えられていました。
そのため、神の枕詞がちはやぶるになったとも言われています。

ですが、時代が進むにつれことばの表現は変わっていきます。枕詞ももともとの意味がはっきりわからないものも少なくありません。

ちはやぶるのように現代とはイメージの違う表現もあります。そのため枕詞は訳さず技法・ルールとしてのみ使うものと考えてください。

枕詞を使った和歌

それでは枕詞を使った和歌を見ながら具体的に解説していきましょう。

千早(ちはや)ぶる
代(かみよ)もきかず
龍田川(たつたがわ)
からくれないに
水くくるとは

これは百人一首にも選ばれている在原業平の有名な歌です。

5文字の「ちはやぶる」という枕詞で「神」を導いています。

【現代語訳】
神がいたという時代の昔でさえも聞いたことがない。龍田川が(紅葉が落ちて)紅色に染められているなんて。

この歌は紅葉で川が紅く染められている幻想的な様子を、神のいた時代でも聞いたことが無いと際立たせています。
ちはやぶるをもともとの荒々しいという意味で訳してしまうと、「荒々しく強暴な神がいた時代にも」となってしまいます。
幻想的な様を際立たせるために使った「神のいた時代にも…」の部分が台無しになってしまう気がしませんか。

枕詞はこのように昔とのイメージの違いで歌の風情を壊さないため、またはどう訳していいかわからないため、訳さないと覚えておきましょう。

出題されやすい枕詞一覧

それでは問題として出題されやすい枕詞を一覧にしておきます。
ここで紹介する枕詞くらいは丸暗記してしまいましょう。

枕詞 導かれる語
茜(あかね)さす 日・昼・紫・君
足引(あしひ)きの 山・峰
青丹(あを)によし 奈良
空蝉(うつせみ)の 命・世・人
小波(さざなみ)の/や 近江・大津・比良・寄る・夜・あやし
白妙(しろたえ)の 衣・袂・紐・帯・袖・たすき・雲・雪
千早振(ちはやぶ)る 神・宇治・氏
久方(ひさかた)の 天(あま)・雨・月・空・光
水鳥(みずどり)の 立つ・うき

 

序詞とは

序詞とは…

序詞とは「和歌の修辞法の一つである一語(または一句)だけを修飾するためにその語句の前におかれる修飾語句で、通常2句以上にわたり制限はないもの」です。

…これも難しいですね。
簡単に言うと「作者が自由に決めた、ひとつの語句を導く(飾る)文字数に制限のないことば」です。

枕詞と違い和歌のルールとして「この言葉のあとにはこの言葉を持ってこなければならない」というものではありません。

作者が、例えば「長い夜」の「長さ」を強調するために他の長いものを用いて例えてみたり、「たつた山」をダジャレにして「波が立つ」の立つと掛けたりして一つに語句を自由に飾ることを言います。

序詞はそのまま訳す

序詞は枕詞とは違い、そのまま訳します。

序詞は作者がその情景や心情を強調するために、またはダジャレなどでリズムをつけたりするのですが、ルールで決められたものではなく作者のオリジナルなので意図や訳し方もはっきりしています。

序詞のパターンは3つ

また、序詞のパターンには3つあります。

①「―――のような○○」というように他のモノで例える比喩パターン
②ダジャレで一つの言葉に2つの意味を持たせる掛詞パターン
③ダジャレで同じ音の言葉を繰り返す同音繰り返しパターン

の3つです。

序詞の訳し方

序詞は枕詞と違ってそのまま訳すと言いましたが、その訳し方について説明していきます。

①の比喩パターンはある単語を別のモノに例えているので「―――のような(に)○○」と訳すことができます。

②③パターンは一つの言葉に2つの意味を持たせているか、同じ音の言葉を2つ入れるかの違いはあれどダジャレなので「(その)○○ではないけれど…」と訳すことができます。

ちょっとわかりにくいと思いますので具体的に序詞を使った和歌で具体的に解説していきます。

序詞を使った和歌で解説

①比喩パターン

あしひきの
山鳥の尾の
しだり尾の
ながながし夜を
ひとりかも寝む


この歌は初句から3句までが4句の「ながながし」を導いています。ちなみに「あしひきの」は「山」の枕詞なので訳しません。

先ほどの訳し方を踏まえて訳してみましょう。
『山鳥の垂れ下がった尾のように長い長い夜を私は一人で寝るのだろう』

②掛詞パターン

立ち別れ
いなばの山の
峰に生ふる
まつとし聞かば
今帰り来む


この歌は2句から3句までが4句の「まつ」を導いています。

これを訳してみると
『あなたと別れて因幡の国に行きますが、因幡の山の峰には松が生えています、そのまつではないけれどあなたが私を待つと聞いたならすぐにでも帰りましょう』と訳すことができます。

③同音繰り返しパターン

郭公(ほとどぎす)
鳴くや五月の
あやめ草
あやめも知らぬ
恋もするかな

個の歌は初句から3句までが4句の「あやめ」を導いています。

この訳は
『ホトトギスが鳴いている5月に咲く菖蒲(あやめ)草、そのあやめではないけれど、文目(あやめ)も分からないような恋をすることよ』というようになります。
文目とは分別という意味があります。

序詞の見つけ方

さて、ここまで解説してきた序詞ですが、その性質は理解しても初見の歌から序詞を見つけるのはなかなか難しいものです。

枕詞のようにある程度暗記し、序詞に触れていくことで慣れていくしかありません。

些細ではありますが、序詞を見つけるポイントを紹介します。

  • 同じ音はわかりやすい
  • 例え・掛詞に注目
  • 「の」に注目
  • 序詞は初句から始まることが多い

同じ音の繰り返しは最も見つけやすい序詞の③パターンであることが多いはずです。同音繰り返しには注意しましょう。

また訳した時に例えや、何か2つの言葉に掛けている言葉を見つけた時は序詞①②パターンを疑いましょう。
そして序詞は2句以上でできているのでその例えの部分や掛けている部分が2句以上にわたっているものは序詞である可能性が高いと言っていいでしょう。

また平仮名の「の」は「~のような(に)」と訳すことが多く序詞に入っていることが多いです。平仮名の「の」には注目しましょう。

そして序詞は初句から始まることが多いです。もちろん初句が序詞に含まれないこともありますが、多くの序詞は初句からはじまります。

これらの特徴を頭に入れておけば多少なり序詞を見つけるのが楽になるでしょう。

さいごに

以上、『【中学国語】和歌の技法/枕詞・序詞の違いについて 性質や見つけかたなどを徹底解説』について解説いたしました。

和歌とは31文字という限定された短い文章です。

その中に様々な技法を盛り込み、情景や心情を読み手に伝える奥の深い日本が世界に誇れる文化の一つです。

勉強として学ぶとめんどくさく感じてしまうものです。

現在では競技かるたが注目を集めたりと和歌への入り口が広がりを見せているように感じます。

百人一首や、漫画「ちはやふる」などから入り、楽しみながら学びを始めてみるのもいいかもしれません。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

 

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