今回”この漫画を読んでほしい!”で紹介するのは今村翠先生の【るるひかる】です。
かつて吸血鬼と呼ばれた特異体質「摂血種」である小川るるが主人公の日本の伝統工芸の尊さとそれを繋ぐ者達のヒューマンドラマが描かれた作品です。
この作品の中で「摂血種」は、”吸った血から記憶を受け継ぐ”という特徴を持っています。
その特徴を活かした「記憶伝承士」の物語なのですが、もうこの初期設定が斬新で、あらすじを読んだ時点で「読みたい!」と思わせてくれた作品です。
ストーリー展開もこの初期設定を活かした深みがあり、続刊が出るのが楽しみな作品だったのですが残念ながら3巻(2023.12発売)で最終巻となってしまいました。
この記事では【るるひかる】の基本情報・おすすめポイントについて紹介していきます。
【るるひかる】基本情報
おすすめポイント①斬新で他に類を見ない初期設定
【るるひかる】はあらすじを読んだ時点で”これは読みたい!”と衝動的に思えた作品です。
漫画作品には、王道設定だけど「ストーリー展開が面白い」・「画力が凄い」・「一人ひとりのキャラが魅力的」などの要素が加わってオリジナリティが生まれているものが多くあります。
ただ、斬新で秀逸な初期設定から”これは読んでみたい!”と思える作品はそんなに多くないというのが私の印象です。
”この漫画を読んでほしい!”でも取り上げた『天泣のキルロガー』などの原作を担当されている菅原敬太先生は初期設定から引き込まれる作品を数多く担当されています。
私の中で、「初期設定で勝てる」作品を生める代表はこの菅原先生ですが、今村先生の【るるひかる】のあらすじを読んだ際にも同じような衝撃を受けました。
あらすじに惹かれて本編を読んでみると、日本の伝統工芸についてリスペクトされていること、膨大な量の下調べをされていることが伝わってきます。
さらに、登場人物達が紡ぐヒューマンドラマには優しさや温かさ、切なさ、悲しみと多くの感情が引き出される読み応えのある作品となっています。
おすすめポイント②日本の伝統の尊さ・職人達の気高さが描かれた作品
先ほども少し触れましたが、【るるひかる】には今村先生の日本の伝統工芸に対するリスペクトが詰め込まれているように感じます。
【るるひかる】に登場する伝統工芸は架空のものなのですが、綿密に資料を集められ、しっかりとストーリーが作りこまれています。
そのため、架空という事実を知らない方が読めば実際に存在する伝統工芸なんだなと思ってしまうほどリアリティと説得力があります。
ただ、伝統工芸自体は架空でも、日本の伝統工芸が生まれ育まれていく過程や、それを繋いでいく職人さんたちの気高さ・後継者問題に悩む現状などはしっかりとこの作品に描かれているのではないでしょうか。
連載中、資料整理のための休載は少なくありませんでしたが、作品を読んでみれば、これだけ作り込まれた作品ならそりゃ資料整理やストーリーを練るのに時間もかかるだろうなと納得できるはずです。
今村先生にとってはこの【るるひかる】が初の月間連載・単行本化作品なのですが、そんな新鋭の先生が書いたとは思えないくらい丁寧で熱量の伝わってくる作品です。
【るるひかる】の完結を惜しむ声は多いですが、今後の今村先生の作品に期待したいですね。
さいごに
以上、『この漫画を読んでほしい!【るるひかる】吸血鬼の設定付けが斬新で/日本の伝統をめぐるヒューマンドラマ作品』について紹介いたしました。
初の月間連載作品でこれだけ丁寧で繊細で引き込まれる作品を描ける、今村翠先生の今後の作品も本当に楽しみですね。
こんな秀逸な吸血鬼の設定を思いつける発想力を持った先生の作品に注目しないわけにはいきません。
連載終了は寂しく、もっと【るるひかる】の世界を浸りたかったですが、3巻という休日などに一気読みしやすい作品になったと捉えることもできます。
ぜひ、次の休日に読む作品を探している方は参考にしてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。