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漫画

この漫画を読んでほしい!【実際の事件や出来事・社会問題をモチーフにした作品特集】

今回は【この漫画を読んでほしい!】は特集記事です。
特集テーマは”実際の事件・出来事・社会問題をモチーフ・モデルにした作品”です。

実際の事件のあらましを忠実に描いたノンフィクション作品から実際の事件をテーマにフィクションが加えられた作品まで様々です。
「現実は小説より奇なり」なんて言葉もありますが、実際に起きた事件には様々な視点からのドラマがあります。

今回の特集作品の中にも
■世間に知られるべき事件の真相
■未解決事件の真相とも思える推理
■知られざる日本や人物の歴史
など読者の興味を引きつける内容の作品が盛りだくさんです。

ぜひ次に読む作品の参考にしてみてください。

【善悪の屑】・【外道の歌】

作者渡邊ダイスケ
掲載誌ヤングキング
巻数善悪の屑:全5巻
外道の歌:全15巻
(完結)
連載期間善悪の屑:2014年~2016年
外道の歌:2016年~2023年
あらすじ

表向きには古びた古書店「カモメ古書店」を営んでいる鴨ノ目武(かものめたけし)通称カモとそこに居候している島田虎信(しまだとらのぶ)通称トラの二人。
二人は古書店の経営者と従業員という顔の他に裏の顔を持っていた。復讐屋ーカモとトラは犯罪被害者の遺族や関係者からの依頼で、加害者への復習を代行していた。
復讐内容は残虐で過激な内容で、加害者の命を奪うこともしばしば。
カモもトラも過去に身勝手な犯罪者によって大切な人を失っていた。カモとトラの復讐代行業と復讐屋になった原因となる過去を描いた作品。

被害者やその遺族は一生憎しみや痛みを抱えたまま地獄のような日々を生きていかなければならない。
しかし復讐を実行に移すには‟一線を越える”必要があり、一度一線を越えた二人が被害者に代わり復讐を果たす。

おすすめポイント

この作品は復讐代行屋のストーリーです。その復讐の対象者が行う悪行は、実際に日本で起きた凶悪事件をモチーフにしているものが多く、読んでいれば”この事件、なんか聞いたことあるな”と感じることが多いでしょう。日本の法律は加害者に甘い・加害者にはもっと厳罰を望む といった声は昔から億あります。日本の法律では復習は認められていませんが、凶悪事件の加害者には同じ目に遭ってほしい・それでも足りないと感じる事件は多くあります。この作品では法を無視し、被害者の無念のみに寄り添った作品となっています。作品の中だけではありますが、自己中で残虐で救いようのない加害者が復讐に遭う様子は少しすっきりした気持ちにもなれるのではないでしょうか。

 

【でっちあげ】

作者原案:福田まさみ
漫画:田近康平
掲載誌月刊コミックバンチ
巻数全4巻(完結)
連載期間2020年6月1巻発売
2022年1月5巻発売
あらすじ

前の職場の先輩からの「若いうちの失敗は取り返しがつく。挑戦してみたほうがいい。」というアドバイスを胸に杉谷誠は試験に9回も落ちた末に念願の教師となった。
子どもたちからの人気も高く信頼される教師であったが、保護者相手は緊張してしまい苦手だった。

そんな杉谷教諭に「教師によるいじめ」の疑いがかけられた。
発端はとある生徒の母親への告発。生徒は杉谷教諭に体罰や暴言などのいじめを受けたと訴えたのだ。
学校側も保護者の訴えのみを鵜呑みにし、杉谷教諭に謝罪を求めた。

杉谷教諭は謝罪すれば丸く収まると思ってしまいいじめを認め両親に謝罪した。
しかし自体は収まるどころか、最悪の展開に…マスコミが「いじめ教師」と過激に報道し、両親は杉谷教諭を相手に裁判を起こす。

杉谷教諭は裁判では一貫していじめ・体罰はなかったと主張する。
裁判の行方は?そしてこの事件の真相は?
実際に起きた事件のすべてがこの作品に記されている。

おすすめポイント

この事件は日本で実際に起きた事件のノンフィクション作品です。作中では保護者側からの視点、教諭側からの視点、それぞれの視点でこのいじめ事件が描かれていますが、その2つの視点からの顛末は全く違ったモノで、実際にも1つの”でっちあげ”を含むこの2つの事実が争われたことに恐怖すら感じます。この事件では”でっちあげ”は暴かれましたが、真実が嘘とされ”でっちあげ”が真実とされてしまったら…許せないし、怖いですよね。この作品には真実がゆがめられてしまいそうな絶望からの希望(あきらめない心・信じてくれる人々・善意)が描かれています。


【罪の声】

作者原作:塩田武士
作画:須本荘一
掲載誌イブニング
巻数全3巻(完結)
連載期間2017年6号-2018年
あらすじ

京都でスーツの仕立て屋を営む曽根俊也。
ある日探し物をするために父の遺品をあさっていると、大事にしまわれた手帳とカセットテープを見つけた。
カセットテープを聞いてみると子どものころの自身の声が入っていた。
モノマネや歌い声が続けて流れてくるが上書きされたのか、急に音声は途切れ、別の音声が流れてきた。
「じょーなんぐぅーのべんちの…こしかけのぉ…」(俊也の子供のころの声)
それは31年前に起き、日本中を巻き込んだ未解決事件「ギン満事件」に使われた脅迫テープだった。

自分の父が未解決事件の犯人なのか?自分の声が事件に使われていたのか?と疑念を抱いた俊也は「ギン満事件」について調べ始める。
一方新聞記者・阿久津英士もこの未解決事件を追い始める。

おすすめポイント

【罪の声】は塩田武士先生の同名小説のコミカライズ作品です。1984~1985年に起きた昭和最大の未解決事件のひとつ、グリコ・森永事件を題材にしています。作中では事件名こそ変えてありますが、発生日時や犯行の時系列など事件の概要は細かい部分にいたるまでグリコ・森永事件の概要そのものです。原作の武田先生はこの事件の小説を描きたくてまずは新聞記者となり情報を集めることから始めたということからこの作品への並みならぬ熱意がうかがえます。そしてこの作品はどこまでが事実なの?この未解決事件の真相はこの作品の通りなんじゃないの?と思えるほどリアルで未解決事件の真相を知らされている感覚に陥ります。塩田先生はインタビューで取材の過程で作品に描いたような推理が成り立ったと述べています。この作品は昭和最大の未解決事件の真相に最も近い推理が描かれている作品と言えるでしょう。


【実録たかされ】

作者本宮ひろ志
江川卓
掲載誌コミックビンゴ
巻数全3巻
連載期間1997年(1巻発売)
あらすじ

作新学院高等部で「怪物」と呼ばれ、日本中を甲子園にくぎ付けにした江川卓。
この作新で甲子園の記録を次々と塗り替え世間を席巻し、法政大学に進学、そして日本プロ野球界に史上最大の混乱を招いた「空白の一日」までを描いたノンフィクション作品。

ストーリーは当時の様子と、作者の本宮先生が江川選手やその他多くの関係者に取材して話を聞いている様子とで構成されている。
関係者の話を聞いていくうえで、記憶の食い違いなどもあるが、その食い違いを議論するシーンについてまでも描かれている。

おすすめポイント

日本プロ野球界における史上最大の事件といえば江川卓選手の「空白の一日」と答える人は少なくないでしょう。最近ではこの事件を知らない方もいらっしゃるかとは思いますが、江川卓という1人の選手の入団をめぐって巨人軍がセリーグを脱退し第3リーグを立ち上げるなんてところまで揉めた大事件の顛末がこの作品に詰め込まれています。日本のプロ野球ファンには必見の作品だと思います。


【府中三億円事件を計画・実行したのは私です】

作者原作:白田
漫画:MUSASHI
掲載誌少年ジャンプ+
巻数全2巻
連載期間2018年12月29日~2019年12月31日
内容

日本歴史上最大の未解決とも言える「三億円事件」ー。
この事件ではある少年が有力な容疑者とされ自殺してしまっているが、その友人であった”白田”が息子へ「三億円事件の犯人は私だ」と告白をした。
その息子は世間へ公表することを進めた。
その公表の手段に選んだのが小説家になろうへの投稿だった。

この投稿はネット上で瞬く間に話題となり、その内容が真実であるのか物議を醸した。
果たして白田が語る三億円事件の真相は真実なのか?

ちなみに原作作中にこの作品はフィクションであるとの注意書きがある。

おすすめポイント

未解決事件や、日本の闇・都市伝説といった類が好きな者ならば「三億円事件の犯人が名乗り出た」と聞いて気にならない人はいませんよね。小説家になろうに投稿さた直後から反響は物凄いもので書籍化・コミック化は必然でした。内容の嘘・本当はわかりませんが、個人的には大きな矛盾もなくなんとなくこの作品通りだったんだろうなぁと感じています。また作中では白田たちの犯行に至るまでの青春に満ち溢れたストーリーが描かれています。友情・恋愛・青春モノとしても事件録としても読みごたえのある作品です。


【ギフト±】

作者ナカデユカ
掲載誌週刊漫画ゴラク
巻数全26巻(完結)
連載期間2015年4月-2022年9月
あらすじ

犯罪者を“クジラ”と呼び、捕らえ、解体し、その臓器を正規ルートで移植を受けられない患者に提供する組織がある。
指揮を執るのは大学生の秋光崇、犯罪者を解体するのは女子高生の鈴原環、秋光家に仕える現職の警察官の加藤。
この3人を中心とする組織は「捕鯨」と称して犯罪者の臓器を再分配しているが、解体を担当する環を巡り事件が起きる。
その事件は次第に大きくなり、国家レベルのそして、隠ぺいされた日本を揺るがす大スキャンダル事件に繋がっていく。
また、環や崇の出生の秘密や、加藤の過去などそれぞれの人物が複雑に絡み合う本格ミステリー。

おすすめポイント

この「ギフト±」という作品で扱われているのは、現在でもネット上で様々な憶測や推論、都市伝説がささやかれている「プチエンジェル」事件という児童買春事件についてです。さまざまな憶測が飛び交う本事件は警察がタブー視していて誰も深く事件に踏み込めないという噂までとびかっていますが、そういった噂として広まっている都市伝説的な事件の真相をまとめ・さらに深堀した内容になっている作品と言えます。事件の都市伝説・闇・タブーといった内容が好きな方の興味をそそる作品だと思います。


作者:ナカデユカ 巻数:21巻(連載中;2021年6月現在)

【「子供を殺してください」という親たち】

作者原作:押川剛
漫画:鈴木マサカズ
掲載誌コミックバンチ
巻数既刊14巻(連載中)
連載期間2017年8月9日1巻発売
作品内容
2023年時点で「ひきこもり」の推計人数は146万人にものぼるとみられています。
その中には多くの精神疾患を抱えた人々が存在し、その多くが精神疾患の自覚がない・精神医療を受けさせることについての抵抗感などの理由で、適切な医療を受けられていないというのが現状です。
また精神疾患者が凄惨な事件を起こしたり、家庭を崩壊へと導くケースも少ないとは言えません。【「子供を殺してください」という親たち】の原作者である押川剛さんは1996年より自身が所長を務める「(株)トキワ精神保健事務所」で”精神障害者移送サービス”を始めました。
社会や医療から隔離された精神疾患者たちをその空間・状況から脱却させ医療へと繋げる取り組みを行っています。本作は押川剛さんが経験してきたケースを元に描かれています。
プライバシー保護の観点から名前こそ偽名が使われていますが、作中で描かれているすべてのケースにモデルとなった人物・事案が存在します。

おすすめポイント

精神疾患は患者自身や身内の人々がそれと気づけなかったり、認められないことによって悪化してしまうケースが数多くあります。最も最悪な事態になれば患者自身・身内・第三者の命が脅かされてしまうことにもなりかねません。押川さんはそんな命のぎりぎりのところにいる精神疾患者とその家族を命を張って医療に繋げる取り組みを行っています。長年精神を病み、狭い所に引きこもった人々を外に引っ張り出すのは並大抵なことではありません。そんな押川さんと患者・家族とのリアルで壮絶なやり取りが描かれた作品です。


【White Tiger~白虎隊西部開拓譚~】

作者夏目義徳
掲載誌グランドジャンプ
巻数全3巻(完結)
連載期間2013年1月~2014年2月
あらすじ

日本の歴史が大きく動いた幕末。
江戸幕府を支えていた会津藩は新政府軍の仇敵となり戊辰戦争に敗れた。

会津藩には少年たちによって組織された白虎隊と呼ばれる部隊が存在した。
会津藩の敗戦が濃厚になると生き残っていた白虎隊の隊士たちは自ら命を絶った。

白虎隊隊士・白石鶴之助も死に場所を求めていたが、会津藩軍事顧問をしていたヘンリー・シュネルに出会う。
シュネルはアメリカに新しい会津若松の町を作ることを提案する。
鶴之助は異国の地で日本人による・会津若松の人々による新しい町を作ることを決心する。

おすすめポイント

戊辰戦争の敗戦によって会津若松の人々がアメリカに渡り、初の日本人コロニー「若松コロニー」を築いたという歴史は意外と知られていないという印象ですが、史実です。白虎隊は残った隊士たちは自ら命を絶ち唯一生き残った飯沼貞吉も日本で生涯を終えたとされているので、白虎隊が若松コロニーに渡ったという記録はありません。もし白虎隊の隊士たちがアメリカに渡り若松コロニーを築く助けとなっていたらという浪漫があり、妄想がどんどん膨らんでいくストーリーとなっています。


【奇子】

作者手塚治虫
掲載誌ビッグコミック
巻数全3巻(完結)
連載期間1972年1月~1973年6月
あらすじ

戦争から無事日本に帰ってきた天外仁朗には秘密があった。
戦地でアメリカ軍に取り込まれ帰還後はGHQの諜報員として活動を強いられた。

ある任務で殺人事件の一端を担った仁朗。
任務えお終えた仁朗は血の付いた衣服を妹の奇子(あやこ)と天外家の小作人の娘・お涼に見つかってしまう。
仁朗はお涼を口封じのため手に掛けた。そして身内である奇子は一家の名を汚すことを避けるため、地下に幽閉することに。

一方東京では仁朗が関わった事件にそっくりな事件が起きていた。。
しかも被害者は国鉄総裁の霜川則之だったのだ。そっくりな2つの事件にはどのような関係があるのかー。
また、地下に幽閉された奇子とその家族の運命はー。

おすすめポイント

鉄腕アトムやブラッック・ジャックなど数々の名作を生みだした手塚治虫先生の問題作と呼ばれている【奇子】。この作品は幽閉された奇子とその周りの人々の運命がメインストーリーですが、その中で国鉄三大ミステリー事件の1つとされる「下山事件」(作中では霜川事件)についてが描かれています。この事件は自殺か他殺かも解明されておらず、不可解な点も多いため今なお多くの人々の関心を集めている事件です。メインの話の筋とは違うところで下山事件が扱われていますが、かなり興味深い事件の展開となっています。


【かくかくしかじか】

作者東村アキコ
掲載誌Cocohana
巻数全5巻(完結)
連載期間2011年11月~2015年1月
作品内容

「海月姫」や「東京タラレバ娘」などの代表作を世に送り出した東村アキコ先生の生い立ちから漫画家になるまでの過程が描かれた自伝エッセイ作品。
特に恩師である画家の日高健三先生との関係がクローズアップされています。

東村先生は「描くこと」というのはセンスであったり、急に降ってくるものではなく何回も描くこと、ひたすら手を動かすことで徐々に身についていくもの。
努力できない人には「描くこと」はできないと考えていてその想いを若い世代に伝えたくて自伝エッセイ漫画という形で表そうとしたと語っています。

東村アキコ先生の情熱・感動・努力・挫折・後悔が詰まった作品です。

おすすめポイント

かなりたくさんの想いやメッセージが込められた作品ですが、私がこの作品から一番に伝わったのは「複雑な師弟関係の難しさ」です。感謝や尊敬はあっても自分のやりたいことと恩師の伝えたいことに違いが生まれてしまった時、あなたならどうしますか?おそらく正解なんてありませんよね。東村先生もその経験をし、矛盾・葛藤・罪悪感などを感じ自分の道を歩まれてきたことが切に伝わってきます。そして東村先生の成功は”ひたすら繰り返す努力”の賜物だろいうことも伝わり読んだ後”自分も頑張ろう”と思える作品です。


【竜馬がゆく】

作者原作:司馬遼太郎
漫画:鈴ノ木ユウ
掲載誌週刊文春
巻数既刊7巻(連載中)
連載期間2022年4月~連載中
(2024年4月時点)
作品内容

司馬遼太郎先生の代表的な作品である歴史小説「竜馬がゆく」。
2500万部を突破し、歴史好きからも好まれ、歴史入門したいという方にも読みやすく”日本の歴史小説といえばコレ”とも言える作品です。。
この司馬遼太郎先生の代表作を「コウノドリ」でも有名な鈴ノ木ユウ先生がコミカライズ。
坂本龍馬の一生がドラマチックに描かれています。

おすすめポイント

おそらく多くの作品で描かれる坂本龍馬や、皆さんのイメージにある坂本龍馬像というのは司馬遼太郎先生の「竜馬がゆく」の影響がかなり大きいでしょう。本作はその小説「竜馬がゆく」の内容をかなり忠実に取り込みコミカライズされています。皆さんのイメージにある坂本龍馬がこの作品に詰まっているはずです。鈴ノ木ユウ先生の作画はレビューなどでは好き嫌いがあるといった評価のようですが、個人的には歴史モノにはピッタリなタッチで、本作も原作の雰囲気に合致していると感じます。幕末・竜馬に興味のある方はぜひ!


さいごに

以上、『この漫画を読んでほしい!【実際の事件や出来事・社会問題をモチーフにした作品特集】』について紹介いたしました。

中には、実際の事件・出来事をモチーフにしたというテーマより、人物にクローズアップした作品というテーマの方がぴったりくる作品もあるかと思いますが、そこはご愛敬でお願いします。
また歴史上の人物を特集した記事も書いていきたいと思います。

個人的には未解決事件の真実は実はこうだったみたいなフィクション作品はわくわくしながら読めます。
ちなみに今回の記事でのイチオシは【罪の声】です。

ぜひ次に読む作品の参考にしてみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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