2022年北京冬季オリンピック開幕を控え各競技の日本代表が次々と決定しました。
中でも大きな注目を集めている一人が男子フィギュアスケートの羽生結弦選手。
2014年のソチ・2018年の平昌とオリンピック2連覇中の羽生結弦選手の3連覇達成に大きな注目と期待が集まっていますが、3連覇達成以外にも注目を集めているポイントがあります。
それがいまだかつて誰も成功したことのない4回転アクセルの成功です。
この記事では羽生結弦が挑む4回転アクセルジャンプ・羽生選手の想い・アクセルジャンプと他のジャンプとの違いなどについて紹介していきます。
目次
羽生選手の4回転アクセルに懸ける想い
中にはなぜそこまで4回転アクセルにこだわるの?と疑問に思う方もいるかもしれません。
実際、ジャンプの基礎点、難易度、失敗した時のリスクを考えればハイリスクローリターンという見方をすることもできます。
北京オリンピックに‟勝つ”ことだけを目標とするのならば4回転アクセルを入れないという手も大いに考えられるでしょう。
羽生選手がそんなリスクの大きい4回転アクセルにこだわるのには理由があります。
羽生選手は2018年の平昌五輪後から4回転アクセルへの挑戦を開始しましたが、当時羽生選手本人はアクセルジャンプへの自信もあり、次のシーズンには飛べるだろうと思っていたそうです。
しかし、挑戦してみると前人未到のジャンプの壁は想像以上にはるかに高いものだと実感したそうです。
正直、挑戦している間、何度もくじけそうになり、ストレスで食道炎になるほど追い詰められました。
あの精神力が強いで有名な羽生選手が「やめちゃおうかな」とまで思うほど。
それでも「4回転アクセルを飛べるのは羽生結弦しかいない」と信じているファンが大勢いて、羽生選手はその期待に応えたいと強く想っているのです。
4回転アクセルへの貪欲さは自分の夢というだけではなく、羽生結弦選手の、フィギュアスケートのファンのためという想いが強いから生まれてきているのでしょう。
2022年の北京オリンピックも、もともとは考えていなかったようですが、これまで支えてきてくれた人たちのため、応援してきてくれた人たちのために出場を決めたと語っています。
オリンピックで2連覇を果たし、名実ともにナンバーワンとなった羽生選手にとっての目標は他の選手に勝つことから、4回転アクセルを飛ぶことに変化していったのかもしれません。
羽生選手にとって4回転アクセルは支えてきてくれた人たちへの感謝であり、選手としての集大成とも言えるものなのでしょう。
回転不足ながら4回転アクセル両足着氷
そして羽生選手は2021年12月23日に行われた全日本選手権の公式練習で両足着氷ではありましたが、ついに初めて4回転アクセルを着用させました。
本人の中では着氷という形を残せたことで「よくやった」「もういいんじゃないか」「疲れたな」という様々な感情が交錯したと語っていましたが、最後には4回転アクセルを飛ぶことが『僕の使命』という気持ちに落ち着いたと言います。
怪我での調整不足や4回転アクセルへの高い壁のせいでストレスや不安を抱えていましたが北京オリンピックへの出場とそこでの4回転アクセル挑戦をはっきりと心に決めました。
同26日に行われた全日本選手権フリーでも4回転アクセルに挑戦した羽生選手、惜しくも回転不足と両足着氷となりクリーンな成功とはなりませんでしたが、前人未到の快挙に一歩も二歩も近づきました。
アクセルが着氷できる程の状態になったのは全日本選手権の2週間前とギリギリまで苦しんでいたそうで羽生選手の表情からは安堵やスッキリとした感情が伝わってきました。
ちなみに、フィギュア大国ロシアのプルシェンコ選手などを育てた名将・アレクセイ・ミーシン氏は4回転アクセルについて「私が生きているうちは、こんなジャンプ誰にもできない」と語っていました。
しかし、羽生選手の4回転アクセル挑戦を目の当たりにしたミーシン氏は「結弦は4回転アクセルの世界への窓を開けた」と称賛しています。
世界中が羽生選手の4回転アクセル挑戦に注目していると言っても過言ではないでしょう。
アクセルジャンプとは
羽生選手が挑戦している4回転アクセルとはどういったジャンプなのでしょう。男子フィギュアの世界で4回転ジャンプを飛べる選手は多くいます。
アクセルジャンプだけがまだ誰も成功したことが無く、他のジャンプとは一線を画しています。
ではなぜアクセルジャンプだけ難易度が跳ね上がるのでしょうか。
そもそも回転数が多い
まずフィギュアスケートのジャンプには次の6種類があります。
- トゥループ
- サルコウ
- ループ
- フリップ
- ルッツ
- アクセル
フィギュアではスケートの構造上必ず後ろ向きで着氷します。
そしてアクセルジャンプだけが前向きで踏み切ります。そのため回転数が他のジャンプと比べ半回転多いのです。
回転数が多ければそれだけ難易度はあがりますよね。
前向きで踏み切る恐怖
また、前向きで踏み切るのには恐怖心が湧くと語る選手もいます。
日本女子フィギュアで初めてトリプルアクセルを飛んだ伊藤みどり選手は前向きで飛ぶのは進行方向の向きで踏み切るのは恐怖心があると語っていました。
また、進行方向の向きで踏み切るのはバランスが取りにくいという声もあります。
氷の上で、さらに接地面積が少ないという不安定な状態でのジャンプは、些細な差が大きな狂いを生じさせているようですね。
トリプルアクセルと4回転・4回転アクセルと5回転 難しいのはどっち?
それでは、アクセルジャンプとさらに半回転足したジャンプではどちらが難しいのでしょう。
アクセルジャンプが難しいと言われる最大のポイントは“前向きで踏み切る”ことによる不安定さや恐怖心でした。
ーだったら半回転足してでも後ろ向きで踏み切るジャンプの方が簡単なのか?ー
と疑問になります。
羽生選手は以前インタビューで、「4回転は飛べてもアクセルジャンプを苦手とする選手は多い」と語っていましたが、これはあくまでアクセルジャンプの難易度を強調したくて出た言葉ではと思います。
やはり”半回転多く回らなけばならない”というのは“前向きで踏み切る”ことより難易度は増すと考えられます。
実際、トリプルアクセルと4回転トゥループ(最も難易度の低いジャンプ)と比べると技術点は4回転トゥループの方が高いです。
また、挑戦数の違いはあるかとは思いますが、トリプルアクセルを飛べる女子選手より、4回転を飛べる選手の方が圧倒的に少ないです。
以上のことから、トリプルアクセルより4回転の方が、4回転アクセルより5回転の方が難しいと言えるのではないでしょうか。
さいごに
以上、『【フィギュア】羽生結弦がこだわる4回転アクセルとは 他の4回転ジャンプとアクセルはどう違うのか』について紹介いたしました。
これまで多くの感動を与え続けてきた羽生結弦選手の集大成とも言える4回転アクセルと北京オリンピック。
今大会も大きな注目を浴び、自らをとことんまで追い込んでいる羽生選手ですが、今回の4回転アクセル挑戦というのは、これまでで最も壁の高い挑戦となるのではないでしょうか。
もちろん人類初の4回転アクセルの瞬間を見たい気持ちもありますが、成功・失敗にこだわらず羽生選手の挑戦する姿をしっかり目に焼き付けたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。