こんにちは。今回の記事では数学の面白くて、不思議で、多くの人が騙される問題を集めてみました。
以前、あげた『確率の面白い問題』が好評を頂いているので今回は数学・算数全体に関係した面白問題を紹介します。
紹介している問題はすべて中学生までの学力で解ける・理解できるモノばかりです。
ただ、なかなかにクセのある問題が多いのでぜひ挑戦してみて下さい。
試験勉強や受験勉強で勉強することが嫌になっている方、頭の体操をしたい方、ちょっとした小ネタ・小話をお探しの方…ぜひ一読ください。
目次
答えが2つ!?世界中を混乱させた計算式
さて、まずは2011年に台湾のFacebookコミュニティで出題され、世界中で物議を呼んだ計算問題です。
世界中で物議を呼んだ問題!なんて聞くと、どんなに複雑な問題なんだ!?と思うかもしれませんが、とても単純な計算問題です。
その問題とは…
$$6\div2(1+2)$$
なんでこの問題が物議を呼ぶの?と不思議に思う方も多いかもしれません。実はこの問題答えを『1』と回答する方と『9』と答える方とで真っ二つに分かれたのです。
皆さんの答えはどちらになりましたか?またなぜ『1』、『9』と2つの回答が導き出されるのか説明できますか?
解説
この問題のポイントは$2(1+2)$の部分です。この部分を1つの項と捉えるか捉えないかが『1』と『9』の分かれ道となります。
$2(1+2)$を一つの項と捉えると、項は一つのまとまりであるため式全体は
$6$$\div$$2(1+2)$
と色分けすることができます。$2(1+2)$は$6$となるため、式全体は
$6$$\div$$6$
となり『1』という答えが導き出されれます。
$2(1+2)$を一つの項と捉えないとすると、$2$と$(1+2)$の間に$\div$があり省略されている形になるため式全体は
$6$$\div$$2$$\times$$(1+2)$
と色分けすることができます。$(1+2)$は$3$なので式全体は
$6$$\div$$2$$\times$$3$
となります。除法乗法(掛け算・割り算)は計算の優先順位が同じなので左から計算します。
すると『9』という答えが導きだされるのです。
どちらが正しいの?
世界中の人々の答えが真っ二つに割れたこの問題ですが、意見は割れたまま「問題の書き方が間違っている」という意見も出てきました。
この書き方だと上記のように$2(1+2)$を一つの項と捉えることも捉えないこともできてしまうからです。
本来$\times$(掛ける)は数字だけの式では省略できないとされています。
よってもし『1』、『9』それぞれの答えを導いてほしいのならば
$$1=6\div\lbrace2\times(1+2)\rbrace$$
$$9=6\div2\times(1+2)$$
と表記するべきだと考えられています。
平均の不思議 どっちのクラスが優秀?
次の問題は平均の不思議さを感じることができる問題です。
さて、いきなりですが、A組とB組の2クラスが同じテストを受けました。
皆さんは次のA組とB組のどちらが学力の優秀なクラスだと思いますか?
男子平均点 | 女子平均点 | |
A組 | 70点 (人数:25人) | 85点 (人数:5人) |
B組 | 65点 (人数:5人) | 80点 (人数:25人) |
解説
優秀なクラスはA組…と答えた方が多いのではないでしょうか。
A組は男子の平均点でも女子の平均点でもB組に勝っていますね。一見すると確かにA組の方が得点が高く学力が優秀であると思えます。
では、このテストのクラス全体の平均点を見ていきましょう。
A組は男子25人で平均点が70点なので男子の合計得点は$70\times25=1750$点
女子が5人で平均点が85点なので女子の合計得点は$85\times5=425$点
A組男女合わせた合計得点は2,175点
人数が30人なので平均点は$2,175\div30=72.5$点となります
B組は男子5人で平均点が65点なので男子の合計得点は$65\times5=325$点
女子が25人で平均点が80点なので女子の合計得点は$80\times25=2,000$点
B組男女合わせ合計得点は2,325点
人数が30人なので平均点は$2,325\div30=77.5$点となります
男女合計の平均得点はA組72.5点<B組77.5点となるのでB組の方が学力が優秀であると判断することができます。
このように
男子の平均得点はA組70点>B組65点
女子の平均得点はA組85点>B組80点
と、男女別の平均点はどちらともA組が高いのに
男女全体の平均点はA組72.5点<B組77.5点
と、B組の方が高くなってしまうのはそれぞれのクラスで異なる比率の男女別のデータを抽出してしまっていることが原因で起こる矛盾です。
ちょっと難しくなってきましたがこれは「シンプソンのパラドックス」と呼ばれる有名なパラドックスです。
興味のある方はぜひ詳しく調べてみてください。
検査精度99%の検査で陽性!?あなたが陽性である確率は?
あなたは1万人に1人が感染すると言われている流行り病が蔓延している中、体調を崩しました。そして自分もその病に感染しているのではないかと思い検査を受けることにしました。
その流行り病に感染しているかしていないかの検査の精度は99%。検査の結果、あなたは陽性の判定を受けてしまいました。
あなたがその流行り病に感染している確率は何%でしょうか?
A 1%
B 33%
C 50%
D 66%
E 99%
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(検査精度が99%…ってことは間違いはほとんど無いわけだから…)
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正解&解説
A 1%
これ、多くの方は検査精度が99%なんだから陽性の確率も99%でしょ!?と考えてしまう問題です。
直観で99%と感じてしまって方には答えが1%なんてあり得ないと感じるかもしれませんが、よーく考えてみると納得できると思います。
解説
この問題の大きなポイントは「1万人に1人が感染する流行り病」という点です。
実際に100万人を対象に考えていきましょう。
「1万人に1人が感染する」ということなので100万人いれば感染者は100人となります。
そして非感染者は99万9900人ということになりますね。
検査の精度が99%なのだから
感染者100人のうち99人は正しく「陽性」,1人は間違って「陰性」という結果が出ます。
(100人の99%は99人,1%は1人)
非感染者99万9900人のうち98万9901人は正しく「陰性」,9999人は間違って「陽性」という結果が出ます。
(99万9900人の99%は98万9901人,1%は9999人)
だんだん見えてきましたね。
この検査で「陽性」と結果が出るのは…
実際に陽性で正しく「陽性」と判定された99人
+
実際には陰性なのに間違って「陽性」と判断された9999人
||
10,098人
よって「陽性」という結果が出た人の中で実際にも陽性であるのは10,098人中たったの99人ということになります。
割合で表せば99人/10,098人=0.0098...となり約1%という結果になります。
面と向かって「あなたは99%の精度を誇る検査の結果、陽性と判定されました」なんて言われると自分はほぼ確実に陽性なんだと思ってしまうかもしれませんが、このように条件を整理してみると99%という確率が決して「ほぼ100%」と言えるものではないと言うことが解りますね。
もちろん条件によっては99%は「ほぼ100%」になる場合もあります。数字だけではなくその条件が重要になるという問題でした。
有名な「100円が消える問題」 解りやすく解説
さて、まずは次の文章をお読みください。
あるラーメン屋で3人の学生が1,000円のラーメンを1杯ずつ注文しました。
学生たちは見事な食べっぷりで実に気持ちの良い青年たちでした。
気をよくした店長はバイトに”合計3,000円のところ2,500円にまけてやる。
500円返してやれ”と言い500円を持たせました。
バイトは(500円返しても割り切れないよな…揉めないかな?
よし、200円は俺がもらって300円返してやれば揉めないぞ)
と考え学生に300円を返しました。
さて、学生は1人1,000円を払い100円ずつ帰ってきたので、
1人900円ずつ支払ったことになります。
もともと3,000円支払っていたのに1人900円の支払いになったので2,700円。
バイトが200円くすねているので足して2,900円。
…あれ……100円足りないよな??
はい。いかがでしょうか。
この文章、100円が無くなる訳がないのでどこかおかしい部分があるのです。
おかしな部分があるのにいかにも正しい文章かのように読者をミスリードしているのです。
皆さんはこの文章の間違いを見つけられますか?
解説
この文章の重大なミスリードは
■返金の500円を無視し3,000円と比較している
■バイトがくすねた200円を支払った2,700円に足している
という点です。
順を追って考えていきましょう。
この学生たちは3,000円の代金を払いましたが、店長の好意で、500円割引の2,500円にしてもらいました。
(3,000円ー500円=ラーメン代金2,500円)
そしてバイトが200円をくすねたせいで、2,500円になるはずだった学生が支払う料金は2,700円になってしまいました。
言い換えると学生たちは2,500円のラーメンに2,700円を支払い、200円をバイトに盗られてしまったということになります。
ですからこの200円は支払額の2,700円から引かなければならないものなのです。
(支払額2,700円ー盗られた200円=ラーメン代金2,500円)
このように考えると100円はどこにも消えていませんね。
上記の文章では500円の割引を無視し最初に支払った3,000円と、
支払料金2,700円と、本来そこから引くべき「盗られた200円」を足したものを比べる。
というよーく見るとと無茶苦茶なことをしているんです。
無茶苦茶なことをしているんだけど文章の書き方であたかも正しいでしょ?と思わせる問題でした。
速さの平均
次は速さの問題です。
AさんはBさんを送るため家から空港まで車で往復しました。
行きは飛行機に間に合うように時速60kmで
帰りはゆっくりと時速40kmで
車を走らせました。さてAさんは平均何kmで車を走らせたでしょう?
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(平均だから足して2で割ればいいのかな…)
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正解&解説
A. 時速48km
正解できましたか?
この問題は直観で答えると間違えてしまう問題です。
解説
この問題は直観で平均をしてしまい時速50km!と間違えてしまう方が多いんです。
では実際に計算してみましょう。
まずこの問題では距離が提示されていないので120kmと仮定しましょう。
(距離は何kmでも同じ答えになります)
「行き」は
時速60kmで120kmの距離を進んだので2時間かかりました。
「帰り」は
時速40kmで120kmの距離を進んだので3時間かかりました。
ですからAさんは往復240kmの距離を5時間で進んだことになります。
速さ=距離÷時間なので
240km÷5時間=時速48km
となります。
ポイントは”時間”です。この問題では同じ距離を違う速さで行き来しているのでかかる時間はそれぞれ違いますよね。
当たり前ですが早い速度で向かった「行き」の方がかかる時間は短く、「帰り」の方がかかる時間は多くなります。
これはかかった時間が違う場合、「速さ」は平均できないというポイントをついた問題なんです。
補足
と言うことは、同一の時間をそれぞれ時速60km,時速40kmで走ったのならば速さ足して2で割るという平均を使えます。
例えば
Q.最初の30分は時速60kmで次の30分は時速40kmで進みました。平均の速さは?
という問いであれば
(時速60km+時速40km)÷2=時速50km
と答えを出すことができます。
1日で数が倍になるスイレンの葉
ここに1枚のスイレンの葉があります。
スイレンの葉は1日に1回分裂し、2倍の数になります。もちろん分裂して生まれたスイレンの葉も同じ性質を持っています。
さて、A君は家の前にある池にスイレンを1枚落とし観察を始めました。
観察から60日後にスイレンが池全体を覆いました。
ではスイレンが池の半分を覆ったのは観察を始めてから何日後でしょうか?
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ッ!?
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正解&解説
A. 59日後
この問題も有名なので知っている方は多いかもしれません。
難しく考えて答えが出なかった方や、観察日数半分の30日!と答えてしまった方はいないでしょうか?
解説
スイレンの葉は1日でその数が倍のになります。
ということは、逆に考えれば1日前のスイレンの数はその日の半分ということになります。
「池の半分を覆った」ということは「池全体を覆った」の半分にあたるので池半分を覆った日は池全体を覆った日の1日前の59日後ということになる訳です。
以上、今回は数学の不思議で面白い問題を6問紹介しました。
よろしければ以下の「確率に関する面白い問題」もぜひご覧ください。
さいごに
以上、『【数学】面白くて不思議で多くの人が騙される問題集めました/答えが2つ!?,平均の不思議,99%の検査で陽性!?etc』を紹介いたしました。
いかがでしたでしょうか。
数学には一見すると不思議で何でそうなるの?と思うような問題や、直観と答えが異なる問題が多く存在します。
今回紹介した問題以外にも不思議で興味深い問題は数多くあります。
こうした、問題を数学に興味を持つきっかけになったり、雑談などに使っていただければ嬉しいです。
学びを楽しく行い、学業への意欲を持つきっかけにしてもらえたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。